動脈硬化に気をつける生活習慣を身につけて血管ケアを

書評・ブックレビュー

目次

本について

書名 一生切れない、詰まらない「強い血管」をつくる本

著者 島田和幸

出版社 永岡書店

本書の概要

血管病とは

血管病は主に動脈に起こりますが、老化と、好ましくない食生活(過食や偏食)や運動不足、喫煙習慣、ストレスなどによって動脈が硬化、劣化(動脈硬化)するのが主な原因です。

主要な血管病は、脳出血、脳梗塞、眼底出血、大動脈瘤破裂、狭心症、心筋梗塞、腎硬化症、腎不全、閉塞性動脈硬化症などがあります。

血管病はこれといった自覚症状がないまま進行します。

脳出血や脳梗塞、狭心症や心筋梗塞など、発作が出た時にはすでに重い状態であることからすぐの治療が必要ですが、それでも最悪手遅れになったり、後遺症が残ったりすることが少なくないのです。

現代では食生活の変化や運動不足などによって、40代・50代の働き盛りで発症するケースも増えています。

働き盛りでの発症は、家族を含めてその後の人生計画を大きく変えることになってしまいます。

発症リスクの推定・検査

毎年行われる健康診断には、血圧、LDLコレステロール値等、血管と関係が深い項目があります。

血管病の発症リスクを評価する検査には、PWV(Pulse Wave Velocity)検査、FMD(Flow Mediated Dilation)検査、頸動脈超音波検査があります。

血管病のリスクを下げるための生活習慣

血管の内皮細胞をケアすることが大切ですが、そのためには、生活習慣の見直しと改善が必要です。

 

食生活では減塩と、魚や大豆製品をとって良質のたんぱく質の摂取、飽和脂肪酸をなるべくとらないこと、緑黄色野菜を積極的に食べること、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどを多く含む食材を増やすことです。

過剰な塩分は血圧を上げるだけではなく血管壁をはじめとして体の各組織にダメージを与えます。

良質のたんぱく質は血管が若返る際の内皮細胞の材料にもなります。

飽和脂肪酸はLDLコレステロールを増やし、カロリーも高いので肥満につながります。

緑黄色野菜に豊富に含まれている抗酸化成分は、血管の老化をくい止め血管病を防ぎます。

カリウムは体内の余分なナトリウム(食塩の主成分)の排出を促します。

 

タバコは血管に大変悪いため禁煙が必要です。

 

一日100〜300kcal程度の軽めの運動で得られる血管ケアの効果は、全身の血流が良くなり、血管の内皮細胞に良い刺激が加わり、血管が強くなります。

運動の種類としては、血流を促すウォーキング、体の柔軟性を保つストレッチ、筋肉をつける筋トレがオススメです。

血糖や血中脂質の代謝も改善しやすく、ドロドロの血液がもたらす血管への害を減らせます。

また筋肉を鍛えることで運動機能と血流が高まり、血管病の予防効果が期待できます。

感想

かねてより血液ドロドロの害悪と血液をサラサラにすることの重要性がアピールされていますが、同時に、血液の通る血管そのものの健康が大切です。

平成28年度の日本人の死亡数1,296,000人に対して、死因のトップ4は悪性新生物374,000人、心疾患193,000人、肺炎114,000人、脳血管疾患107,000人となっています。

このうち心疾患と脳血管疾患は血管の病で、約4人に1人が血管病で亡くなっているということになります。

特に中年世代での発症も増え、深刻な問題となっています。

血管病について知見を得て、対策することは急務です。

 

国立循環器病研究センターで開発した吹田スコアは、年齢、性別、喫煙、糖尿病、血圧、LDLコレステロール、HDLコレステロール、CKDの程度によりスコア付けをし、10年間の冠動脈疾患(心筋梗塞および、手術・カテーテル治療が必要となった狭心症)の発症確率を算出する方式ですが、吹田スコアの活用は大変役立つと思います。

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また、内皮細胞を傷める要因を減らすためと、血圧を上げる原因を減らすために、野菜、果物、低脂肪の乳製品、魚、鶏肉、ナッツ類、全粒穀類等を増やし、飽和脂肪、トランス脂肪、砂糖等を減らしたDASH食が有効だと思います。

DASH食にはカリウムやカルシウム、マグネシウム、食物繊維、良質のたんぱく質などが含まれています。

(注意)ただし、腎機能の低下が進行している人がカリウムを多く摂取すると、高カリウム血症により命に関わる不整脈が出ることがあり非常に危険です。

また、果物などの摂りすぎはカロリーオーバーにつながります。

グレープフルーツなど、一部の果物や野菜は薬の働きに影響を与えるものがあります。

従って腎機能の低下している人や、糖尿病の人など食事療法中の人、服薬中の人は医師への相談が必要です。

 

血管を若々しく保つためには、適切な食事とともに、適度な運動が必要ですが、そのためには、生活習慣病を防ぐために推奨されている身体活動量と運動量をクリアすることも大切でしょう。

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参考文献

国立循環器病研究センター著 データでまるわかり! 国循のなぜこれが生活習慣病にいいのか? アスコム

平成 28 年(2016) 人口動態統計の年間推計 – 厚生労働省

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