知的生産を行う上で学習は必要ですが、学習する上でキーとなってくる記憶や忘却について知ることは重要だと思われます。
そこで記憶や忘却について調べてみました。
記憶
我々が刺激に接した時、まずそれは感覚器官でごく短時間(数秒程度)保持されます。これを感覚記憶といいます。
その後、感覚記憶の中から能動的に選択された情報が前頭皮質、頭頂皮質、前帯状皮質、および大脳基底核の一部にあるといわれる記憶領域に送られ、短期間(数十秒程度)保持されます。これをワーキングメモリーといいます。
ワーキングメモリーには容量があります。
人間が知覚する情報の「まとまり」の単位をチャンクといいますが、ワーキングメモリーの容量は4チャンク程度とされます。
ちなみに4チャンクは数字にして4個程度です。
その後、ワーキングメモリーから特定の情報が大脳皮質に長期記憶されます。
長期記憶の時間は長いものは一生涯にわたることもあります。
長期記憶の容量は十数テラバイト以上といわれます。
また、長期記憶には宣言的記憶と手続き記憶があるとされます。
手続き記憶は自転車の乗り方など、体が覚えているような記憶です。
宣言的記憶には意味記憶とエピソード記憶があります。
意味記憶は特定の体験と無関係な記憶で、エピソード記憶は個人的経験に関する記憶です。
例えば言葉の意味などは意味記憶、食べたものの記憶などはエピソード記憶になります。
一方、記憶の流れを考えると、記銘され、保持され、想起されるという順になります。
記銘は符号化ともいいますが、外部から受けた刺激を記憶できる符号にして覚えることです。
保持とは記憶を貯蔵すること、想起とは貯蔵された記憶を思い出すことです。
忘却
記憶を忘れること、つまり忘却は、記銘の時にそもそも覚えなかった、保持の途中で失った、想起できなかった、の3つに分かれます。
未記銘は、感覚記憶からワーキングメモリーに移る際に記銘されなかったり、ワーキングメモリーから長期記憶に移る際に記銘されなかったりです。
保持の途中で失うのは、前頭皮質、頭頂皮質、前帯状皮質、および大脳基底核の一部にあるといわれる記憶領域で失われる場合や、大脳皮質にある記憶が失われる場合が考えられます。
これには、ワーキングメモリーや長期記憶で、前の記憶が今の記憶と干渉して記憶が失われるという記憶の干渉説や、長期記憶の場合に記憶が時間とともに減っていくという減衰説があります。
例えば、学習すると脳はグルタミン酸での興奮の量が多くなり、脳が柔軟になり学習が容易になりますが、記憶は定着していない状態です。
ここで類似の他の学習をすると、2つ目の学習によって1つ目の学習が上書きされる逆向干渉が起き得ます。
想起できないのは、大脳皮質から情報を取り出すのに失敗することです。
想起は、何らかの手がかりがあって思い出すわけですが、想起できない理由として検索手がかりの不足などによる検索失敗説があります。
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