マインドマップの制限

知的生産

別記事「マインドマップについて」で、マインドマップのメリットを

頭の中を整理できる

覚えられ思い出せる

思いつきがひらめく

自分を知ることができる

他人に伝えられる

と書きました。

頭の中の考えや思いをマインドマップに描き出すことや、描く過程で、これらのメリットが得られるわけですが、それぞれ無制限に得られるわけではなく、制限があります。

まず、マインドマップという用語にうさんくささを感じる人も少なくないと思うのですが、『思考したいテーマを中央にイメージとして描き、そのテーマから伸びる枝(ブランチ)にテーマを分解した単語を書き、その枝からやや細い枝が伸び、その枝にさらに分解した単語を書き、という作業を繰り返していく図解』であり、分類の手法であるといえます。

分類の手法として考えた場合、いくつかの制限が見えてきます。

制限の1

KJ法でデータをグループ編成するときに、『小分けから始める。大分けから始めてはいけない』という原則があります。

別記事「KJ法について」で、『グループ編成は、必ず小分けから大分けに進めていきます。最初に大分けしてしまうと、独断で大分けすることになるため、結果が異なってしまいます。』と書いたのがそれです。

最初に大分けするのは、自分の頭の中の価値判断で独断的に大分けして、以下、データをそれぞれの分類に当てはめていくだけになります。

つまりデータから何が得られて最終的にどう分類されるか、ではなく、最初に自分が決めた分類があってデータを当てはめる、ということになってしまい、分類結果も異なり得ますし、データから得られるヒントや仮説が減ってしまいます。

ところで、マインドマップは、最初にメインブランチで大分けし、次第に細いブランチへと小さく分けていきます。

つまり、マインドマップの場合、頭の中で自分の価値判断に従って考えて、これはこう大きく分類できると判断した結果、メインブランチに書き出すわけです。

そしてそれこそがマインドマップの制限の一つです。

データを整理、統合していって、最終的にいくつかの大グループに分類された、という場合の大グループがあるとします。

このデータ整理を、マインドマップを使って行った場合、メインブランチがこの大グループと一致する場合のみ、マインドマップでの整理が正しいといえます。

制限の2

マインドマップの二つ目の制限は、メインブランチの先に連なるブランチが、メインブランチと同系統のデータのみになるという点です。

「KJ法について」で『データを分類するだけならば、データをまとまりごとに単位化してカードに記入し、似通ったカードを集めて分類する方法があります。』と書きましたが、マインドマップもブランチごとに系統化して分類するので、これと似た分類です。

しかしこれでは『この方法では、全然性質の異なる、比べることのできないデータ同士の組み合わせから何が発見されるか、という意味でのまとめができません。』ということになります。

各メリットの制限条件

マインドマップで頭の中を整理できますが、頭の中で考えている問題が、大きく「あれかこれか」と分類できる問題で、しかも頭の中でそう判断でき、それが最終的に正しい分類である場合に限ります。

マインドマップで描いたことを覚えられ思い出せるのは、マインドマップを描く行為が、思考過程をそのまま描き出しているような場合であり、ブランチの色や形と記憶が結びつく場合(色や形が想起の検索キーとなる場合)に限ります。

つまり、描き出せるような思考の場合です。

マインドマップを描く過程で思いつきがひらめきますが、全然性質の異なる、比べることのできないデータ同士の組み合わせから出てくるひらめきは期待できません。

マインドマップを描くことで自分を知ることができますが、描き出せるような思考をした場合や、知識を描き出した時に何を知らないかを知る、という場合になります。

マインドマップで他人に伝えられますが、これも描き出せるような思考をした場合の自分を他人に伝えられる、ということになります。

しかしながら、上記の制限の中で、マインドマップが非常に多くの応用が効き、役立つ手法であるということは、多くの活用例が示していると思います。

なお、マインドマップはA4やA3サイズ横向き用紙に描くのでブランチの数は数階層までになりますが、ブランチの先の方の項目をセントラルイメージにして新たにマインドマップを描けばより多くの階層が描けます。

しかし全てのブランチについて10階層くらい描き出さないと頭がスッキリできないし自分も表現できない、という人にとっては、制限となるでしょう。

まとめ

マインドマップとは、分類手法であるといえます。

分類手法でありながらも、上記のような制限の元で、「頭の中を整理できる」「覚えられ思い出せる」「思いつきがひらめく」「自分を知ることができる」「他人に伝えられる」メリットがある手法であるといえます。

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