はじめに
知的生産の技術という言葉は梅棹忠夫さんの著書名であり、そこで使われている言葉ですが、今一度具体的に何を指すのか考えて見ました。
本文
梅棹忠夫さんの著書『知的生産の技術』では、知的活動の成果として生み出す行為を知的生産といっています。
知的生産とは何も職業としての知的活動による生産だけではなく、ブログを書くという行為も該当します。
流行りの「自分史」を書く行為も知的生産でしょう。
知的生産とは、情報を材料としてインプットし、処理して、新しい情報や育った情報を製品としてアウトプットする生産活動といえるでしょう。
そうすると、インプットする工程、処理する工程、アウトプットする工程に分けられます。
インプットする工程では、情報を集め、吟味し、使える状態に加工し、検査し、並べます。
処理する工程は、情報を取り込み、処理し、処理後に排出します。
アウトプットする工程では、検査し、出荷できる状態にし、並べます。
製品は必要な場合、1つは取り置きます。
それぞれの工程で日報をつけ、報告し、記録に残します。
記録は順調か問題が起きたかのチェックの意味だけではなく、改良のための技術資料の意味があります。
単独で生産を行う場合もあれば、相互に連携して生産を行う場合もあります。
アウトプットする工程で生み出された製品を再びインプットするような生産装置もあります(細かく粉砕する装置など)。
それらに付随する技術は、開発等の基礎技術から、設計技術、購買、生産技術、通信技術、技能的な技術、工程管理、品質保証など多岐にわたります。
なお、処理する工程は頭脳での思考そのものですが、インプットする工程や処理する工程、アウトプットする工程を取り仕切るのも頭脳です。
処理する工程では、頭脳が頭脳を認識して操作する、ということになります。
知的生産の技術とは、情報を材料として
材料を集める技術(カードとその活用等、インターネットの活用等)、材料を吟味する技術(情報の吟味の技術等)、材料を使える状態に加工する技術(データ整理の技術等)、材料を検査する技術(分析等)、材料を整理・整頓する技術(スクラップブック、ファイリング方法等)
材料を取り込む技術(読み方の技術など)、生産装置(頭脳)を活用する技術(記憶術、物の考え方、アイデア出しの技術等)、製品を生み出す際に用いる生産技術的な技術(コンピューターの活用等)や生産道具(万年筆等のツール類)
製品の検査の技術(査読の技術等)
などの総称ということになります。
『知的生産の技術』に出てくる1〜3章の手帳、ノート、カードとその使い方は、材料を集める技術になるでしょう。
4章の新聞の切り抜きは材料を集める技術でしょう。
リプリント・ボックスは取り置いた製品の整理、写真資料の整理は材料を整理・整頓する技術でしょう。
5章の整理と整頓は、材料の整理・整頓、材料加工道具の整理整頓、製品の整理・整頓、生産道具の整理・整頓ということになります。
6章の読書の技術は、材料の取り込みの技術ですが、材料を使える状態に加工する技術でもあります。
7章のペンやタイプライターは生産道具でしょう。
8章の手紙は通信技術です。
9章の日記と記録は、それぞれ日報や記録です。
10章の原稿は製品化の技術ですし、原稿用紙は材料でしょう。
コピーを取ることは製品の取り置きです。
11章の文章は多岐にわたる技術でしょう。
こざね法(=KJ法B型とほぼ同じ)は生産機械の活用の技術(アイデア出しの技術)であると同時に、材料を集め、吟味し、加工し、検査する技術でもあり、材料を取り込む技術でもあります。
用字・用語の問題や論理的に意味の通った文章を保証することは品質保証に該当するでしょう。
まとめ
知的生産を、情報を材料としてインプットし、処理して、新しい情報や育った情報を製品としてアウトプットする生産活動と考えると、知的生産の技術とは、基礎技術から、設計技術、購買、生産技術、通信技術、技能的な技術、工程管理、品質保証などに対応する技術であるといえます。
こう捉えると知的生産の技術を体系立てて考えることが可能です。
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