生活習慣病とは「遺伝的要因」に良くない「生活習慣」が加わって発症する疾患の総称です。
肥満、高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、動脈硬化症、狭心症・心筋梗塞、脳卒中、認知症、がん、アルコール性肝炎、高尿酸血症・痛風、歯周病、脂肪肝、慢性気管支炎、などがあります。
遺伝的要因の強弱を判別するのは、まだ技術的には確立されていません。
従って、できる限り生活習慣を見直し、改善する必要があります。
また、生活習慣を見直し改善することによって、病気の発症の予防や、発症していても進行を遅らせることができます。
そうはいっても日本人の平均寿命は女性が世界1位、男性は世界3位じゃないかと思われるかもしれませんが、健康寿命は男性71歳、女性は74歳です。
男女共10年ほど健康上の問題を抱えたまま過ごすことになります。
寿命近くまで健康でいられるよう、健康寿命を伸ばす余地があります。
国立循環器病研究センターが開発した、冠動脈疾患の発症率を予測する計算式があります。
吹田スコアといいます。
合計点が高いほど、今後10年間の冠動脈疾患の発症確率が高いです。
35歳未満の場合や、すでに冠動脈疾患や脳卒中にかかったことのある人は使用できません。
吹田スコア
危険因子1 年齢
35〜44歳 30点
45〜54歳 38点
55〜64歳 45点
65〜69歳 51点
70歳以上 53点
危険因子2 性別
男性 0点
女性 −7点
危険因子3 喫煙
している 5点
していない 0点
危険因子4 糖尿病
かかっている 6点
かかっていない 0点
危険因子5 血圧
至適血圧 −7点
正常血圧 0点
I度高血圧 4点
II度高血圧以上 6点
危険因子6 LDLコレステロール
100mg/dL未満 0点
100~139mg/dL 5点
140~159mg/dL 7点
160~179mg/dL 10点
180mg/dL以上 11点
危険因子7 HDLコレステロール
40mg/dL未満 0点
40~59mg/dL −5点
60mg/dL以上 −6点
危険因子8 慢性腎臓病(腎臓機能)
eGFR60以上 0点
eGFR30~59 3点
eGFR30未満 14点
1〜8の合計点を計算する
点数と今後10年間の発症率の関係
点数 発症率
35以下 1%未満
36〜40 1%
41〜45 2%
46〜50 3%
51〜55 5%
56〜60 9%
61〜65 14%
66〜70 22%
71以上 28%より大
次の記事の計算フォームで計算できます。
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危険因子5の血圧について注目します。
日本人の食塩摂取量の平均は1日10g(平成26年)ですが、これはだいぶ多い数値です。
食塩過剰摂取が血圧上昇と関連があることと、減塩の血圧を下げる効果とは証明されています。
極端な減塩は脱水などの悪影響もあるために、高齢者や腎臓病患者、汗をかいて塩分が出る環境では注意が必要ですが、1日3〜4g程度まで塩分摂取量を減らしても良いと考えられています。
日本高血圧学会発行の高血圧治療ガイドラインでは食塩制限の目標を1日6g未満としています。
なお、減塩の効果は、血圧が高めの人の方が出やすいのがわかっています。
減塩と併せて米国国立衛生研究所が提唱したDASH食を取ると血圧低下に効果的です。
DASHとはDietary Approaches to Stop Hypertensionの略で、高血圧を止めるための食事療法という意味です。
DASH食は、野菜、果物、低脂肪の乳製品、魚、鶏肉、豆類、全粒穀類等を増やし
飽和脂肪、トランス脂肪、砂糖等を減らした食事です。
DASH食にはカリウムが多く含まれています。
ただし、腎機能の低下が進行している人がカリウムを多く摂取すると、高カリウム血症により命に関わる不整脈が出ることがあり非常に危険です。
また、果物などの摂りすぎはカロリーオーバーにつながります。
グレープフルーツなど、一部の果物や野菜は薬の働きに影響を与えるものがあります。
従って腎機能の低下している人や、糖尿病の人など食事療法中の人、服薬中の人は医師への相談が必要です。
減塩食は日本高血圧学会減塩委員会のレシピが参考になります。
参考文献
国立循環器病研究センター著 データでまるわかり! 国循のなぜこれが生活習慣病にいいのか? アスコム
高血圧治療ガイドライン2014 日本高血圧学会
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