KJ法とは
川喜田二郎氏によって考案された、思考したいテーマに関する数多くのデータや意見等を統合して、新しい知見を得るための方法です。
以降、データや意見等のことを、単にデータと書きます。
データを分類するだけならば、データをまとまりごとに単位化してカードに記入し、似通ったカードを集めて分類する方法があります。
しかしこの方法では、全然性質の異なる、比べることのできないデータ同士の組み合わせから何が発見されるか、という意味でのまとめができません。
KJ法は、そのような異質のデータを統合して、新しい意味を見出したり発見したりすることのできる方法です。
手順としては
1 データのカード化
2 カードのグループ編成
3 グループ編成した材料に基づいて、KJ法A型、B型、AB型、BA型のいずれかを適用
となります。
場合によっては、KJ法AB型の後で累積的KJ法を行います。
カード化とグループ編成
データのカード化
カード用紙に、データの内容を一行に要約して書き込みます。
この時、内容を抽象化しすぎないように注意します。
一行にできない場合は、データをより細かい単位に分ける必要があります。
グループ編成
作成したカードを広げ、内容の上で近いと感じるカード同士を一箇所に集めて小チームにします。
この時、どのチームにも入れにくいカードは、どのチームにも入らないこと自体に意味があるため、そのままにしておきます。
数多くの小チームが編成されてきたら、各チームのカード同士の関係を理性的に考察します。
小チーム内の他のカードと関係がないカードを発見した場合はチームから外し、他のチームに編入するか、どこにも属せない場合は単独のままにしておきます。
このようにして小チームの編成を終わります。
この段階で、カード群が多数できています。
新しいカード一枚に、一つのカード群の内容を一行に要約して、異なる文字色で書き込みます。
この新しいカードを表札がわりに一番上にし、カード群をその下に重ねてクリップ等でまとめます。
この表札作りを、全てのカード群に対して行います。
表札の付いた小チーム同士を用いて、同様に中チームを編成します。
同様に中チームに表札をつけます。
以下同様に、大チームを編成し、大チームに表札をつけます。
こうして、最後に5〜10個程度のチームになるようにします。
最も大きなチームの表札を全て集めて、その内容を一行にまとめると、それはテーマになっています。
グループ編成は、必ず小分けから大分けに進めていきます。
最初に大分けしてしまうと、独断で大分けすることになるため、結果が異なってしまいます。
グループ編成後
KJ法A型、B型、AB型、BA型のどれかを行います。
KJ法A型
グループ編成した結果を用いて図解化します。
図解化はグループ編成の時とは異なり、最初に大分けのチームから行います。
1 まず、チームの表札(小チームの場合はカード)を広げて並べ、論理的に最も納得がゆく配置を見つけます。
もし論理的に納得がゆく配置が見つからない場合は、適切なチームではなかったということになるため、チーム内容を見直します。
2 表札の配置が終わったら、別の白紙に配置関係を清書します。
つまり表札に書かれた一行の言葉を書き写していきます。
3 言葉を丸く枠取りします。
4 関連のある言葉同士を、線で繋いだり、外枠で囲んだりします。
線で繋ぐ方法では、関係のある言葉同士を棒線で繋ぐ方法があります。
また、相互関係のあるものを←→、対立するものを>–<、原因→結果の関係があるものを–→という風に細かく分ける方法もあります。
外枠で囲む方法は、関係があり同類であることを示します。
続いて、より小さなチームの図解化を1〜4と同様に行い、最終的に小チームの図解化を行って終わります。
図解化によって、データ同士がどういう意味で関係があるかを発見します。
KJ法B型
グループ編成した結果を用い、直接カードのデータを文章化していきます。
KJ法AB型
KJ法A型によって図解化し、その図解に基づいてさらに文章化します。
文章化を始める位置は、一応、熟読した図解上の位置から始めるのが良いとされます。
文章化にあたって、書き始め位置の近辺にある、一組の近しいデータ群(基本的発想データ群(BAD)といいます)を同時に考慮します。
BADの範囲は『机の上にそれだけのデータを並べてみて、同時的にそれらが考慮の中に入れられる程度の複雑さ』(参考文献より)とされています。
この時、データの取り出しが容易にできるように、カードにはデータと対応する通し番号をつけておくと便利です。
最初のBADの文章化が済んだら、図解の上でなるべく近い関係にあるBADに書き進めます。
どうしても文章が繋がらない場合は図解を改定します。
文章化にあたっては、データをまとめて叙述した部分と、自分が考えた独創または解釈の部分を区別して文章化します。
KJ法BA型
KJ法B型によって文章化し、その内容を図解化します。
累積的KJ法
カード作り→グループ編成→A型→B型を1サイクルとし、B型の文章化の際に出てきたヒントや仮説を新たにカード化します。
この新たなカードを用いてグループ編成→A型→B型のサイクルを回します。
KJ法の活用
データのまとめ、書物の理解、受験勉強、会議、チームワーク作り、説得、創造性開発等、多岐にわたります。
参考文献
川喜田二郎著 発想法−創造性開発のために 1967年 中公新書
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