残業は仕事にも悪影響 なくすには職場の改善が必要 後編

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目次

残業をする理由

大きな理由に会社の能力の問題があります。

ほぼ半数は自身の日常業務が終わらないから(全体で46%)という意見です。

これは、会社としては人手不足によるもの、もしくは仕事の削減や業務の改善が必要と思われるもの、個人としては能力不足と思われるものです。

しかしながら個人の能力を勘案した上で仕事を割り当て残業を減らすべきと考えると、主に会社の能力の問題だろうと考えます。

同僚・部下の業務をフォローするから(全体で14%)という意見も、人手不足や業務改善の問題であり、会社の能力の問題です。

また、そういう仕事だからという趣旨の意見もあります。上司から指示されるから(全体で9%)、突発的なことに対応する必要があるから(全体で28%)、会議が就業時間外に行われるから(全体で5%)という意見です。 突発的なことに対応する必要があるにしても、人員を工面したりシステムを改善して対応すべきであり、これらもやはり会社の能力の問題だろうと思われます。

会社の能力問題という趣旨の意見は全体で合計102ポイントに対して、日に3時間以上の残業をしている人は合計98ポイントです。日に3時間以上の残業をしている人が特に全体と差がある項目は、突発的なことに対応する必要があるから23%、上司から指示されるから4%です。どちらも全体より少なめで、多忙による残業・または早く帰れるのに帰れない結果の残業が少なくない傾向にあるからとも思われます。

早く帰れるのに帰れないという理由もあります。職場が残業をする雰囲気だから(全体で15%)、上司より早く帰りにくいから(全体で7%)、同僚・部下より早く帰りにくいから(全体で5%)、という意見です。

帰れるのに帰れないという趣旨の意見は全体では合計27ポイントに対して、日に3時間以上の残業の人は合計35ポイントです。日に3時間以上の残業の人が特に全体と差がある項目は職場が残業をする雰囲気だからという意見で27%です。 長時間残業の人の中には多忙で長時間残業となる人もいる一方、自らは早く帰れるのに周囲に配慮して長時間残業をしている人も少なくないと思われます。

望んで残業をしているという理由もあります。残業をしてでも達成したい目標があるから(全体で13%)という仕事に積極的な意見もあれば、残業手当が欲しいから(全体で16%)、家に帰ってもしたいことがないから(全体で2%)、という意見もあります。

望んで残業をしているという趣旨の意見は全体では合計31ポイントに対して、日に3時間以上の残業の人は合計25ポイントです。日に3時間以上の残業の人が特に全体と差がある項目は残業手当が欲しいからという意見で8%です。

長時間残業の人は望んで残業をしているという人は多くないようです。

職場に求めること

従業員への働きかけをしてほしいという趣旨の意見があります。帰れるけど帰れない雰囲気の職場、帰れるけど帰らない人がいる職場では有効でしょう。

残業をしない職場の雰囲気作り(全体で29%)、上司が率先して残業を減らすよう働きかけること(全体で16%)、定時消灯/残業0デーなどの推進(全体で13%)という積極的な働きかけを望む意見があります。

また、仕事の後の学び・趣味の推奨(全体で7%)、時間でなく成果での人事評価を徹底すること(全体で11%)で、従業員に残業をしない働き方を求めてほしいという趣旨の意見があります。

朝型勤務制度の推進(全体で4%)という意見も、実施する際には従業員に朝早く出てくる努力を求めるものですから、従業員への働きかけを求める意見でしょう。

従業員への働きかけをしてほしいという趣旨の意見は、全体では合計80ポイントに対し、日に3時間以上の残業の人は合計75ポイントです。日に3時間以上の残業の人が特に全体と差がある項目は、上司が率先して残業を減らすよう働きかけること21%、定時消灯/残業0デーなどの推進8%、仕事の後の学び・趣味の推奨2%です。

日に3時間以上の残業の人が職場への働きかけを求める意見が少なめなのに、一方では上司が率先して残業を減らすよう働きかけることに対して求める意見が多いのは、リーダーシップによって強制的に残業減を求めて欲しいという切実さがあるのかもしれません。

仕事を減らす人手不足の解消、を求める意見があります。

必要ない業務を止めること(全体で30%)、職場の人員を増やすこと(全体で24%)という意見です。少なくない意見ですが、2~3割にとどまっているのは、会社の体力を考えると人員増を求められない、という思いもあるのではないかと思います。

仕事を減らす、人手不足の解消を求める意見は全体では合計54ポイントに対し、日に3時間以上の残業の人は合計62ポイントです。日に3時間以上の残業の人が特に全体と差がある項目は、職場の人員を増やすことという意見で33%あります。

業務の改善を求める意見も複数あります。

特定の人に負荷がかからない仕事の割り振り(全体で25%)、会議時間を減らすこと(全体で13%)、決済ルートを簡略化すること(全体で8%)、IT機器・システム導入による業務改善(全体で7%)、オフィスレイアウトなど仕事に集中しやすい職場環境作り(全体で7%)という意見です。

業務の改善を求める意見は全体では合計60ポイントに対し、日に3時間以上の残業の人は合計45ポイントです。日に3時間以上の残業の人は、特に全体と差がある項目は、特定の人に負荷がかからない仕事の割り振り17%、オフィスレイアウトなど仕事に集中しやすい職場環境作り2%です。なお特定の人に負荷がかからない仕事の割り振りを求める意見が少なめなのは、職場全体の人に負荷がかかっているということかもしれません。

従業員への働きかけを求める意見が全体より少なめなことも考えると、長時間残業の人は、業務の改善よりも人手不足の解消を願っていることがわかります。

まとめ

残業による私生活への影響は、特に長時間残業で顕著に、心身の不調を与える他、時間が不足することによる問題、特に生活習慣の悪化を招く傾向があります。また家庭内や交友関係への悪影響もあります。またスキルアップ不足にし、新たな業務スキルを身につけることを困難にします。

時間が不足すると健康で働く上で問題が起きると思われることを実際に生じさせ、仕事に悪影響を与えます。

従業員自身は、仕事を効率的にしやすくする工夫をしている人や、周囲との仕事の調整・協調をしている人が少なくありません。

一方で、特に長時間残業の人で工夫していることはない人が4割ほどいます。これは残業時間削減のためには個人の工夫では超えられない壁があるために工夫しないのではないかと思われます。

残業をする理由には、人手不足や業務の改善が必要なのに対応できていなかったり、突発的なことに対応することを残業に組み込んだりと、会社の能力の問題が多いです。

一方で、自身は早く帰れるのに職場の雰囲気や周囲への配慮から帰れないという人も少なくないですし、望んで残業をしている人もいます。

長時間残業の人には望んで残業をしている人は多くないようですが、会社の能力の問題で残業をしている人と、早く帰れるのに周囲との関係で帰れないという人とに分かれるようです。

結果として、自身の工夫では残業の削減は困難で、必要ない業務をやめて仕事を減らすことや人手不足の解消、業務の改善を望む意見が多いです。

特に長時間残業の人に、人手不足解消による残業時間削減の思いが顕著です。

また職場に対し、残業をしない職場の雰囲気作りや、早く帰るような意識変革等、従業員への働きかけをして欲しいという意見が少なくありません。

残業削減のためには、会社として、人員配置や仕事量の見直しや業務の改善、従業員への、残業をしない雰囲気作りや意識改革の働きかけが必要です。

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